ローマは、三度世界を征服した。
一度は武力で、次は法律で、三度目はキリスト教で。
メーカー | PD Games |
発売年 | 2013年 |
作者 | Mac Gerdts |
プレイ人数 | 2-5人用 |
対象年齢 | 13歳以上 |
ゲーム概要
ゲルツ最高傑作はロンデルでない皮肉
ロンデルシステムで大航海時代を駆け抜けた名作「ナヴェガドール」から2年、マック=ゲルツの作品が巷を席巻していました。実はこの作品、実際よりもさらに1年程早く発売されるはずでした(調整に手間取ったみたいです)。その時から「今度のゲルツは非ロンデル!」という噂が飛び交っており、どんなゲームになるのかとても楽しみにしていたのを覚えています。
ゲームの時代はローマ帝国が地中海周辺を牛耳っていた頃。プレイヤーは、全員ローマから軍団を展開して地中海沿岸の地域に植民し、そこで獲得できる特産物を売買して自国を発展させます。いつものゲルツ作品ならアクションの選択は円形のロンデルシステムによるところですが、「コンコルディア」で採用されたのは流行のデッキビルディング。ただ、デッキビルディングと言ってもドミニオンのそれではありません。
デッキは手札に全て持ち、そのカードから1枚を選択してプレイしてアクションを実行します。ただし、プレイしたカードは再び手札に戻すまでは再使用できません。使用したカードを全て手札にするにはそれだけで1手番を消費してしまうので沢山溜めて一気に回収するという効率的な運用が求められます。
このシステムは「奇妙な村」で採用されていたものに似ていますが、「コンコルディア」ではカードを購入する事によりアクションの幅を拡げられるようになっています。アクションが増えるというと身構えてしまいそうですが、そのアクションは決して有象無象なものではなく、基本アクションが若干強くなる程度のもので実にバランスが良いです。カードがあるお陰でロンデルの時と同じくアクションの選択(今出来る事を把握すること)が容易です
ルール文量はたったの4ページ
2時間超のゲーム時間を要するゲームですが、ルールブックはイラスト入りでわずか4ページ。その殆どが7種類のカードを説明しただけで終わってしまうという潔さ。これらのカードをプレイすることによってできるアクション7種類は:
これらを1枚ずつプレイしてはアクションを実行していくわけです。そしてこれはこのゲームのほぼ全てとなっています。コピーの能力の使いどころが結構重要。自分の能力も安易にコピーされないように周りのカードに気を配る必要があって気が抜けません。
まるで”獅子脅し”のようにエレガントな収穫システム
ボードはエリア状に分かれていて、エリアには複数の拠点が存在します。そこへコストを支払って植民地を建設する事により特産物を収穫する権利を持つ事ができます。植民地の建設は早い程コストが安くなります。こうして権利を獲得したエリアにおいて収穫アクションが実行されると、そのエリアに植民地を持っているプレイヤー全員に拠点に対応した特産物が与えられます。カタンでだれかが振ったサイコロで木材とレンガが手に入るような感覚です。これをサイコロの目ではなく能動的にエリアを指定できるようにした形です。ただし、一度収穫したエリアは誰かが全体のリセットを行うまで再び収穫することができなくなります。収穫したエリアを示すタイルは裏返され、そこにはコインが記されています。収穫が進むと次第にこのコインが累積し、誰かの金欲を刺激して、リセットが促されるわけです。まるでジャパニーズ獅子脅しのようなエレガントなシステムです。
得点計算は溜め込んだカードで
初期手札とアクションを増やすために溜め込んだカード。これにはあと2つ意味があります。まず1つ目は最終得点計算。それぞれのカードは基本アクションごとに”ある要素の得点”を与えるようにデザインされています。例えば、「植民地を建設した地域1つにつき2点」「10金につき1点」などです。これらのカードを複数枚集めると、その分だけ得点も増えていきます。ある程度の段階から他人も含めカードの得点要素分布に気を配らなければなりません。また、ゲームに登場しているカードが全て購入されるとゲーム終了となります。全く、ため息が出る程に無駄の無いシステムです。その他、手持ちの植民地駒を全て消費したプレイヤーが現れたときもゲームは終了します。その後、最終得点計算を行って勝者を決定します。
ゲーム終了のトリガーを引いたプレイヤーには特別ボーナスが与えられるので、終盤がダラダラとすることも少ない隅から隅まで素晴らしいルールです。
多数の拡張セット
本作は人気作だけあって、多数の拡張セットが発売されています。基本セットのイタリアマップよりも2人向けに性能が良いとされるエジプト・クレタマップや、魚や塩が追加されるマップ。そして、タッグマッチが楽しめる拡張などもあります。折を見て紹介していこうと思います。
プレイ記
手元に5人プレイと4人プレイの記録がありました。
まず悪球打ちドゥーム評議会にてタナカーマー、オビーワンダフル(オビ湾)、常勝タムラさん、永峰和訳神と5人プレイ。
COQは赤。とにかく建設コストの安いレンガの拠点に植民地を立てまくり、植民地駒枯渇でのゲーム終了トリガーを引いてゲーム終了。序盤から最も勝ちの高い布に注力し、人知れずカードを大量に捕獲していたタムラさんが常勝故の常勝。オビ湾はタムラさんのあまりの強さに途中で別卓で別ゲームを掛け持ちし始めた。コラッ!
続いて、ジョーコデルモンダーあきおさん、タナカーマー(中身は10日間ゲームズの店長)、あっきーさん(中身はタナカーマー妻)と4人プレイ。
朝四時に渋谷駅前集合。全員リーゼントと単ランにボンタン着用のこと。とにかく駒がヤンキーっぽい。私立十日ハイスクール出身の夫婦がまたしても収穫でイチャイチャとwinwinの関係を見せつける対岸で、あきおさんとCOQはマッハパンチにピストンキックで応酬する。
前回の教訓を活かして高めの特産物で金に困らない生活を目指す。それにしても斜向いのあっきーさんがよく見ててCOQの得点源を減らそうと邪魔してくる。
が、今回は前回の教訓を活かして差しきることができた。世の中金です!
プレイ時間120分(4人)
総評
Platinum
「ナヴェガドール」以来の満点ゲームです。箱絵のお姉さん程ゲーム内容の敷居は高くないので遊んだことがなければとにかく1度遊んでみて下さい。既に古いゲームですが誰かが持ってます。
ゲームの楽しみとユーザーのことを考えに考え抜いた作品だと思います。プレイヤー同士の絡みも沢山、勝ち筋も沢山、ダウンタイムもワクワクできるし豊富な木駒で満足感も味わえます。ナヴェガドールに至るまでは、をロンデルでマルチゲームをギリギリユーロゲームにつなぎ止めていた作者が放った2作目のビバユーロ。現時点でも彼の最高傑作。実にエレガント。マンマミーア。
(2022年追記)発売以来様々な拡張マップが発表され、世界中に愛好者の多いゲームとなりました。2022年には、大変評判の良いソロ拡張も発売されています。これで、この素晴らしいゲームを誰に気兼ねすることなく百万回遊べますね。
TBGLのオススメ!