コンコルディア拡張マップ（エジプト・クレタ）

エジプトはナイルの賜物

メーカー	PD-Verlag
発売年	2017年
作者	Mac Gerdts, Frank Lamprecht
プレイ人数	2-5人用
対象年齢	12歳以上

ゲーム概要

傑作を少人数用に特化させる拡張マップ

当サイトTOP10 Gameの１つにしてMac Gerdtsの最高傑作である『コンコルディア』の拡張マップの１つ「エジプト・クレタ」は、この傑作を少人数で楽しむ際におすすめのマップです。マップは両面仕様となっており、エジプト・クレタそれぞれのマップが楽しめます。一見して縦長（横長）のマップとなっているために入植の競争が加熱しそうですが、それだけではなく、各マップに特有のルールが用意されており、ゲームの深みが一層増す工夫が施されています。

全能の島を活かせるか？２人用に持っておきたいクレタマップ

見るからに狭いクレタマップは、２人ベストに挙げられることの多い拡張マップです。基本セットのマップは広大なため、少人数で遊ぶとインタラクションが薄く「多人数ソリティア」を解いているような感覚になります。その点、クレタマップはその狭さゆえに早取りの要素が強化され、２人で遊んでもインタラクションの濃密なゲームが楽しめます。その違いは基本マップのイタリアと比較しても一目瞭然。クレタマップのスタート地点は青の地域の一番上の都市KNOSSOSです。

カードサプライはボードとは別に付属しており、他のマップでも使用できるようになっています。両面仕様の裏面は、壺の価値を高めるような配分になっていますね。

クレタの特別ルール

クレタマップの特別ルールはGAVDOS島です。この区域には都市が１箇所しかないのですが、その代わりに長官アクションでこの区域を選択した場合のボーナスで任意の商品（通常はその区域で最も価値の高い商品）を取得することができます。スタート地点KNOSSOSから海路では程遠いこの全能の島をどう使うかもゲームの展開に変化をもたらします。

さらに、マップが狭くなったことに対するケアとして、長官アクションでお金を貰う際に、追加で２金得ることができます。

ナイルの恵みと紅海が変化と方向性を生むエジプトマップ

一方、エジプトマップは２〜３人に適した狭いマップであることに加えて、とても秀逸な特殊ルールが幾つか追加されています。スタート地点は地中海沿岸のナイル川三角州にあるMEMPHISです。マップの特徴は、海路扱いとなるナイル川が縦長のマップ中央を横断していること。そして、紅海がスタート地点を含む地中海と陸地で隔てられているところです。紅海に漕ぎ出すためには、一旦陸路を通って紅海沿岸に入植し、入植者のカードを使用してそこに船を登場させなくてはなりません。基本ゲームではあまり利用価値のない入植者のカードの価値が跳ね上がり、購入できなかったプレイヤーは外交官のカードでコピーの機会を狙うというインタラクションが新たに発生します。

エジプトの特別ルール

エジプトマップでは、「交易」と「ナイルの恵み」のルールが主に追加されます。交易では、紅海の乳香交易とKVSH区域の黄金交易ができる様になります。

紅海に船を漕ぎ出すことに成功したプレイヤーの船が乳香交易マスの隣で移動を終えると、無条件に船が交易マスに吸い込まれて以降の移動はできなくなります（各プレイヤー１隻のみ）。こうすることでゲーム終了時に７勝利点を得ることができるのに加えて、沿岸の都市で生産が行われる度に５金を得ることができるようになります。もの凄く強力な効果のため、序盤はこの指針に従って戦略を組み立てることになるでしょう。

一方、黄金交易では、ナイル川の遡って船を一番端まで移動させることにより、黄金交易のマスに船を吸い込ませることができます（こちらも各プレイヤー１隻のみ）。こうすることにより、ゲーム終了時に７勝利点を得ることができます。

さらに、エジプトマップではナイル川沿岸の区域に「ナイルの恵み」の食料マスがあります。ここには食料のタイルが１枚だけ置かれており、その区域で生産を行うことで、追加で食料タイルを１枚取得できます。食料タイルはKVSHに始まり、生産するごとに下流に向けて移動していきます。ナイル川周辺の都市の価値が高まることと、食料都市を手薄にしてもなんとかなる可能性を秘めた特別ルールです。

このように、エジプトマップではゲームの全体目標になり得る特殊ルールが追加され、ゲーム序盤（乳香交易）から終盤（黄金交易）にかけてプレイヤーを方向付けしており、必然的に思考性とインタラクションを増加させることに成功しています。考える要素が増加するため、少人数でもお腹いっぱいの満足感で遊ぶことができます。