来な!お前を料理してやるぜ!
メーカー | Pegasus Spiele |
発売年 | 2012年 |
作者 | Sebastian Bleasdale |
プレイ人数 | 2-4人用 |
対象年齢 | 8歳以上 |
ゲーム概要
90年代テイストの裏に実力を隠した正統派カードゲーム
中華料理をモチーフにした、セットコレクションとハンドマネジメントの小箱カードゲーム『ウィウィルウォックユー』です。ウォックとは、中華鍋のことですので「お前を料理してやるぜ」みたいな意味のタイトルですね。実際には、音楽祭で”往年のアーティスト”をパロディした食材を中華鍋で料理していくゲームです。
場にある食材カードを手札に獲得し、カードに描かれたシンボルを揃えて中華鍋カードを獲得していきます。最後は中華鍋カードに書かれたレシピに従って、食材カードを放り込んで高得点を目指します。所謂、セットコレクションのゲームです。90年代テイストのイラストを始め、古き良き小箱カードゲームの佇まいです。
食材は有名アーティスト
「ウィウィルウォックユー」というのはQueenの歌う「We will rock you」が元ネタであるし、登場する食材も、今は亡きQueenのボーカル、フレディ・マーキュリーをもじったフレディ・ブロッコリ(ブロッコリ)、ティナ・ツーナー(マグロ)、マライア・キャロット(人参)など。適度なバカバカしさが満載。デザイナーはイギリス人ですが、アメリカの一般的な中華料理屋のインチキ臭い雰囲気が凄く出てるカードです。
食材カードには、5種類のシンボルうちどれかが0〜2個付与されています。シンボルには、フォーチュンクッキー(中華料理屋で食事すると必ず出てくる。でっかい”おっとっと”みたいなお菓子の中に小さな紙のおみくじが入ってる。ニッキの入っていない八つ橋みたいな味。一日2回中華を食したりすると、どっちを信じたら良いかわからなくなる。要らない。欲しくない。)まで含まれています。
超余談:作者はクニチーの弟子
2012年の1、2を争う好評価(嘘)のこのゲームのデザイナーはSebastian Bleasdale(セバスチャン・ブリースデール)という人物。彼は「クニチーの弟子」と呼ばれている。それはなぜなのか、彼とゲームとの関わりを紐解いてみると…「セバスチャンは、ティーンエイジャーの頃にカタンやチグユー等のゲームを購入して遊んでいた。ケンブリッジ大学卒業後、仕事で訪れたウィンザーでライナー・クニツィア博士と運命的な出会いを果たし、ケルト等を始めとする彼の作品のテストプレイに協力するようになった。ここで彼はゲームが出版されるまでの長い道のりについて学び、この経験から自分自身でゲームをデザインすることに目覚めた。」とあります。処女作である「オンジアンダーグラウンド」は隠れた名作ですし「キーフラワー」という傑作の生みの親の一人でもありますね。
食材カードは、ダッチ式オークションで競る
食材カードは、3枚ずつの列2つと、2枚ずつの列2つで公開されています。それぞれの列の値段は、その横に置かれたコインのカードの枚数と一緒。手番では、手札からお金カードを出して食材を一列購入するか、食材の横に置かれたお金カードを1枚取るか、手札から(購入済みの)食材カードを出して中華鍋を購入するかの3択。パスは許されません。食材カードが購入されたら、購入に使用されたコインのカードがその列の値段にプラスされます。つまり、誰かが購入すると、値段は倍になるということです。手番順のアヤと、食材の値段が面白味です。
お前を中華鍋でユサユサしてやるぜ!
こうして、食材を購入しては中華鍋カードを獲得していき、どちらかの値段の食材カードが場から無くなった時点でもう一度ずつだけ手番を行ってゲーム終了。手札に残った食材も手に入れた中華鍋に放り込んで、高得点のプレイヤーが勝利します。
プレイ記
流さん、海賊船さんと3人プレイ。ゲームが始まった瞬間から指折り数えてみると、3番手となったCOQは暫く食材が買えない!すわ、スイッチを入れた瞬間に敗者が決まっているという噂のファミコン版人生ゲームと同じ仕様か?と思ったものの、この”悪い流れ”が皆を襲ってくる。単純なルールの割に、流れを変える色んな画策ができる。
COQは、手札に残した食材を得点に換える鍋と、全ての食材を1枚ずつ揃えると得点が生まれる鍋で勝負を挑む。ティナ・ツーナーで、食材が無くても得点となる中華鍋で得点をのばそうとする流さんと争って、終盤はフタの閉まった鍋の購入競争。惜しくも、中華鍋の得点の差の分だけ負けてしまう。
プレイ時間30分
総評
Bronze
バカバカしい雰囲気の裏に隠した、きちんとしたシステムに好印象。次第に値段を下げていく食材カードの競りと、その値段が跳ね上がる無駄の無いメカニクスは、やはりクニチー譲りなのでしょうか。
一言で言ってしまえば「セットコレクションのカードゲーム」なのですが、出来る事の選択肢の割に、面白さが濃密で幅広いのが不思議です。例えば、中華鍋の購入は得点を得るために絶対に必要で、早いもの勝ちのために直にでも手に入れなければならないカードなのですが、競りの手番順を調節する最終手段として残しておきたい…など、色々な楽しみを見いだすことが可能です。
箱絵に記されている通り、ワックホリック(中華鍋中毒)でない人達へもオススメです!